引き続きパルマンティエ。
シャンパーニュは瓶内で発酵をさせるためにドサージュ(補糖)ゼロ出会っても、リキュールドティラージュという砂糖と酵母を瓶詰めの際に添加します。
つまりそれまでどんなに拘ってブドウを育てワインを造っても、ティラージュにおいてだけは全く関係のないものを添加しなくてはいけないのです。
正確にはこのティラージュを前年のブドウを用い自分で造ったブドウリキュールで行うことはできるのですが、その場合、ブドウに対して20%ほどのリキュールを添加する為、収穫量よりも多くのワインが出来てしまいます。
シャンパーニュはその品質を守るために収穫量以上のワインの生産を認めていません。
多くなった分はコニャック用の蒸留へと回されていきます。
(ちなみにできた蒸留酒はもらえません)
つまり、その年に造ったワインの20%を廃棄すればできます。
パルマンティエはそれをやろうとしています。
(正確には2019年から行い、2020年からは全量で行なっています。リリースはまだです。)
自分が造ったワインの20%近くを犠牲にしてでも自身のブドウ100%でワインを造ることを選んだのです。
(現在でもオーレリアン・ルルカンを始め数社は行っています。)
それに関して、当主ステファン・パルマンティエは
「シャンパーニュの純粋性を守りたいため。
自分たちが 最大限の情熱をかけて育てたブドウから造ったワインに、 テロワールとは 何の関連もない砂糖を加えることが本当 に嫌だった。
精製濃縮マストという方法もあるが、これは イタリアやスペインの安価なブドウ果汁を濃縮したシロ ップのようなもの。
いずれも私たちが所有する畑とは何の 関連性もないものだ。
私たちのシャンパーニュは私たちの 区画のブドウ樹と自然が生んだものだけで、造りたい。」
と言っています。
そんな信念から産み出されるワインは可憐でエレガント。力と気品に満ちた味わい。
近年であったシャンパーニュの中でも随一の品質です。
雪の結晶をモチーフとしており、自然によってつくられる唯一の“建築物”であり、人間が触れれば簡単に壊れてしまうものの象徴と言っていますが、ワインの味わいも雪を彷彿とさせる繊細さ。
モンテでの店内価格で¥30000と確かに高価ですがオススメ。
きっとこの先手に入らなくなります。
ちなみにそれならばスーパートスカーナのようにAOCを捨てればいいと思われるかもしれませんが、シャンパーニュの地で造るワインはシャンパーニュとして出荷することが認められていませんのでそれは出来ません。
自分の土地で造った自分のワインをどうしようが勝手だろうと思いますが、なんとも頭の固い話です。