
クスクスはモロッコ発祥のパスタの一種。
セモリナ粉に水を含ませながら指と掌で転がすようにしていくことで作っていく世界最小のパスタです。


原産地はモロッコですが、地中海沿岸地域であるポルトガル、スペイン、南仏、南イタリア、ギリシャなど幅広い地域でよく使う食材で、イタリアでは全土で見かけます。
地中海では魚介と合わせることが多いですが、いずれの場合も旨みのあるスープをクスクスへ吸わせて食べるイメージ。
シチリアでトラパニ風やマルサラ風というと魚介のクスクス。

(シチリアはトラパニ・パレルモ・カターニア・アグリジェント・エンナ・カルタニッセッタ・メッシーナ・ラグーザ・シラクーザの県から成るイタリア最大の島。州都は最大都市パレルモ。マルサラは酒精強化ワインで有名でトラパニよりも人口は多いのにトラパニ県に属するという逆転現象の起こっている町です。)
北イタリアではトマトソースとチーズ、鶏を合わせたり、詰め物にしたりと幅広く使われています。

サルデーニャではフレーゴラという若干大きめで色は茶色っぽい形となっています。


フレーゴラも魚介と合わせ、スープを吸わせて食べる料理です。
話をマロッキーノに戻します。

クスクス発祥のモロッコでは野菜とお肉を炊いてクスクスへかけながら食べる料理が有名でシチリアでもマロッキーノ(モロッコ風)という名前で食べられています。
もう1つのポイントがハリッサ。
最近では日本でも瓶詰めの物を見かけることが増えましたが、トマトと香辛料、唐辛子を混ぜ合わせたチュニジアの調味料。
日本で言うところのかんずりや柚子胡椒のような調味料です。
チュニジアはイタリアに最も近いアフリカで船で渡ることも出来ます。
そして、モロッコの隣はアルジェリア、アルジェリアの隣がチュニジアと地中海沿いに並んでいますのでモロッコの文化や食材がシチリアに伝わる際にチュニジアの文化を取り入れていったのも納得です。
ハリッサを付けながら食べるクスクスマロッキーノはエキゾチックな雰囲気で地中海のオリエンタルな空気を味わう事のできる料理なのです。
前置きが長くなりましたが作り方は至ってシンプル。
材料
煮込んで美味しいお肉(牛や羊、豚のスネやウデ肉、骨つきの鶏肉でも構いません)
好きな野菜 (パプリカや人参、青菜、セロリ、カブ、ブロッコリー、蓮根、インゲン、トマトなどお好みで)
クスクス
塩、オリーブオイル、グラナパダーノ、ハリッサ

今回はあか牛のすね肉。
ソテーして水と塩を加えて柔らかくなるまで茹でます。
茹で上がったら余計な脂を取り除き、肉を取り出して野菜を入れて茹でていきます。
(色合いを良くしたい場合は野菜をそれぞれ茹でていきますが、色がくすみ、青菜はくたっとなるくらいまで茹でることで生まれる渾然一体とした旨味も魅力です。お好みですが。)
クスクスをボールへ入れ、野菜の旨味も加わったスープを沸かして同量注いで5分待ったらお好みで塩、オリーブオイル、グラナパダーノで味を整えます。
クスクスにお肉と野菜、スープをかけて楽しみます。
ハリッサもお忘れなく。
ハリッサはトマトやパプリカのペーストに唐辛子やクローブ・クミンといった各種スパイスとビネガーを合わせます。
モンテでは自家製のイタリアの唐辛子を酢漬けにしたものをピューレにして使っています。