今回は料理とは少し離れますが、2023年8月時点における鳥インフルエンザの世界的流行とワクチン、日本における対応についてです。
日本でも猛威を振るっており、殺処分による防疫についてにニュースについてはご存知の方も多いと思います。
過密状態で飼育する鶏卵用の鶏舎へ一度ウイルスが入り込むと蔓延の速度も早くなり、
殺処分される命や養鶏業者への被害を考えると心が痛くなります。
このウイルスはヨーロッパでも流行しており、家禽の大生産国であるハンガリーやフランスからも発生の度に輸入が停止されており、価格も上がっています。
ウイルスの変異により、人獣共通感染症となると新たなる感染症の脅威となるための防疫措置なので仕方の無い事です。
この鳥インフルエンザ。実は有効なワクチンがあります。
不活化といって、感染力を無くしたウイルスを使ったワクチンで、備蓄もされています。
しかし、使っていません。
それどころか使用した国からの肉の輸入も認めていません。
打った後の反応(人間でいう所の副反応)とインフルエンザ感染の症状が似ており、感染の有無が判別ができなくなることにより感染を広げてしまう懸念がある為との事。
フランスでは10月よりワクチンの接種を開始する決定がなされました。
こうなると10以降一切の家禽が禁輸となります。
もちろん、日本がワクチンの接種を認めていない為です。
現在、アメリカでもワクチン接種を認めていない国へ輸出できない事を勘案してワクチンを投与していませんが、
フランスの流れを受けてワクチン接種へ舵を切る可能性があります。
フランス以外のヨーロッパ各国も同様です。
既に価格面で買い負けをしている日本へさらに輸出が減る可能性もあります。
フランスでのワクチン解禁は殺処分をするという事を減らす目的もあります。
この先の日本の対応は分かりませんが、ほとんど報道がされない中では現在の対応が変わるのは難しい気がします。
皮肉を言うわけではありませんが、アメリカが接種を開始すれば輸入解禁となるでしょう。
現にアメリカ国内で使用が禁止されていても対日輸出用には使用が認められている農薬もあります。
そしてあまり知られていませんが、現在もアフリカ豚熱の影響によりイタリアからの豚肉及び豚肉製品の輸入が停止しています。
(これは日本が清浄国を宣言する為の措置ですが、既に日本国内でもアフリカ豚熱の発生が確認されており、それによる殺処分も行われています。
清浄国という肩書きをなくすことで豚の殺処分や禁輸を解くことができるのですが、これについてもあまり報道されておらずさらに数年間はこの状態が続く見込みです。)
このまま防疫の観点から殺処分を繰り返し、禁輸を続けることで失われる物もあるのではないかと思います。