ワインのお話。
トレンティーノ・アルトアディジェ州。
イタリアで最も北で最も名前の長い州。
スイスと国境を接し、ラベルにはドイツ語が使われる事も多い山岳地域です。
ワインは一般的には南のワインの方が果実味が強く、ボリューミー。北のワインは酸が通って、エレガントに仕上がります。
気温とブドウの完熟度による物なのですが、南の方が果実が甘くなるのは想像しやすいかと思います。
アルトアディジェは当然寒いエリアなのでワインの仕上がりは酸が通り石のミネラル感、
繊細な果実味が楽しめる物が出来るエリアでした。
地球温暖化による気温上昇と高アルコールでボリュームのあるワインが人気を集めるという流れの影響で、
アルトアディジェも無駄にボディを出すのが流行っています。
この流行りというのが困ったもので、
幾つもの素晴らしい造り手のワインが全く別の物になってしまいました。
クエンホフのワインは変わりません。
ずっと同じです。
ラベルも瓶も同じ。アルコールもリースリング2020年は12%。
多くの素晴らしいアルトアディジェの造り手は変わってしまいました。
それらは派手さを出す為に高アルコールかつ樽香を纏い、ボリューミーで酸とのバランスが悪い。
アルコール度数12%というのもポイント。
昔はボルドーで12%というのもありましたが、現在は多くのワインが14%前後、ものによっては15%にもなります。
アルコールが高すぎない方が繊細さを感じられます。
クエンホフはイタリア国内ではかなり有名なワインですが、
日本ではあまり知名度がないのはそんな派手さのない所なのかもしれません。
兎にも角にも繊細で華やか。
エレガントで静謐な雰囲気を持つこのワインがとても好きです。
クエンホフの造るのはシルヴァーネル(シルヴァーナー)、フェルトリーナー、リースリング、ゲヴェルツトラミネール。
2020年のリースリングは1年前は酸がとても強く、いい意味で尖った印象でしたが1年して果実味が乗ってきて、少し甘さも感じられるようになってきました。
2021年は全体的にアルコール度数が高くリースリングで13%、ゲヴェルツは14%。
果実の厚みが例年よりあり、既に飲み頃です。
フェルトリーナーは果実のミネラル、
シルヴァーナーは石のミネラル、
ゲヴェルツは綺麗ライチ、
リースリングは可憐な白い花
そんな印象。
オススメです。