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グラッパの残留メチルアルコールと樽熟成 Grappa e methyl alcohol

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前回の最後に述べた、残留メチルアルコール。

メチルアルコールは目が散ると言われたくらいの猛毒です。

グラッパには製造の過程上必ずメチルアルコールが入ります。

(面倒なので書くのは最後にしますが、残らない生産者もいます。大多数のというニュアンスで読んでください。)

これが残留メチルアルコール。

なぜか。

メチルアルコールはブドウの種や果皮に含まれるペクチンによって生成されます。

(ワインにも含まれていますが、グラッパの原料は絞りかす(ヴィナッチャ)。つまり種と皮なので、その濃度が違います)

それを蒸留してエキスを濃縮する訳ですから、メチルアルコールは増していきます。

メチルアルコールと飲用アルコールであるエチルアルコールは沸点が違うため、連続式蒸留をかければ取り除くことができるのですが、グラッパは変則1回蒸留。

つまり残留メチルアルコールが必ず発生します。

そして、この濃度が一定を超えたものは飲用として出荷する事ができません。

なので、グラッパの背面ラベルに「製菓用」の文言を見た事のある方は多いのではないでしょうか。

一応、飲む用途ではないとして出荷している訳です。

これが2011年の法改正より厳格化され、残留メチルアルコール濃度が一定を超えたものは輸入販売が出来なくなりました。

メチルアルコールが残っているのだから当然だと思われるかもしれませんが、この基準が日本は厳しいです。

ヨーロッパの基準より厳しい為、ヨーロッパ内で流通している商品であっても日本へ輸入する事ができません。

一時、日本へのフィーヌの輸入が止まったのはこの影響です。

この残留物という物の中には香味物質が含まれており、これが蒸留酒特有の旨みをもたらします。

本格焼酎にある特有の旨みや香味がこれと同じです。

イタリア国内でしか流通していない透明なグラッパや少し古い物を飲んでみてください。

透明でありながら深みと旨みのある蒸留酒の世界に触れる事ができます。

ここから先は樽熟グラッパに対する私見です。

本来、透明状態で楽しむグラッパはこの香味物質がないと、精錬され、シャープな味わいのものばっかりになってしまいお酒としての面白さに欠けます。

これを補う為に増えたのがグラッパの樽熟成。

(もちろんウイスキーを始めとする、樽熟酒が流行っているという事や旨みを感じやすいという事もあります。)

樽熟成というのは不思議でウイスキーの味わいの99%は樽で決まり、原酒は関係ないとミシェルクーヴレーは言った程。

彼はウイスキーの熟成のために良質のシェリー酒造りから始めています。

それだけ樽での熟成というのは旨みと難しさを孕んでいます。

樽熟成の真価を発揮しているお酒といえばスコッチとコニャック、カルヴァドス。

イギリスとフランスです。

(バーボンもありますが、新樽なので省きます。)

熟成グラッパの歴史の浅いグラッパメーカーは正直言って樽熟成に対しての技術が未熟で、昨今の情勢では良質の樽を手に入れる事も困難。

良質の樽熟グラッパが殆どないのもこの為です。

ある意味でイタリアのグラッパの熟成は独自の路線をとっており、キャラメルの添加により味を決めています。

スコッチにおいてもキャラメルの添加は認められており、無添加の物はノンチルフィルターやノンカラー等の表記があるくらいで、添加していないウイスキーの方が少ないです。

ただ、グラッパで無添加はほぼ見かけません。

色も熟成年数に対して不自然に濃く甘みが強いです。

これが熟成グラッパの楽しみ方なんだと言われればそれまでなのですが、なんとも不思議な世界です。

ヴィナッチャの雑味と合うという考え方も理解できなくはありません。

ただし、蒸留酒としての深淵さはありません。

あくまで、私見です。

ALTRI

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